会社が有給の日数を答えないことは必ずしも違法ではありません。
とは言え、有給日数が知りたい場合は…
- 給与明細を見る
- 総務部や人事部などに確認する
といった方法が考えられます。
小さい会社の場合、自分で調べないと有給日数が分からないこともあるので気を付けてください。
この記事ではアルバイトやパート従業員の有給休暇についてや有給休暇の基礎知識を紹介しています。
知識があれば、有給が取れない、取りにくい際の対策も分かります。
是非最後まで読んでください。
会社が教えてくれる?
新入社員やパート・アルバイトの場合には、有給休暇を取れる日数や、有給休暇が取れるのかどうかさえ、わかってないという人も多いようです。
会社が有給の日数を答えなくても、必ずしも違法とは言えないようです。
給与明細を見るか、会社の総務部や人事部に聞いてみてください。
自分が有給休暇をもらえるか分からない人は、就業規則や雇用契約書を確認するか、会社に聞いてみると良いでしょう。
会社側は、労働者に有給休暇について、周知させることが求められています。
ですので、会社は、給与明細などに有給の日数を記載するのが望ましいですが、具体的に有給の日数を示さなければいけないという規定はありません。
大きな会社であれば、入社時に有給休暇の制度について、教えてもらえる場合も多いですが、小さな会社の場合には、自分で調べなければ教えてくれないということも多いようです。
労働者にとっては、有給休暇の日数の把握がしづらかったり、有給休暇を取得しにくい環境だったりすることから、労働基準法の一部が改正されました。
アルバイトやパートの有給について
アルバイト・パートの有給 アルバイトやパートで働いている人であっても、一定の条件を満たしている場合には、有給休暇を取れるようになります。
週5日または週30時間以上、または年間217日以上勤務している人は、正社員のようなフルタイム労働者と同じ基準で有給休暇の日数を計算します。
週4以下かつ30時間未満の人は、継続勤務年数と所定労働日の数に応じて、もらえる有給休暇の日数を計算します。
賃金・給与は通常賃金と同額で、シフト制勤務の場合は直近3か月の平均賃金となります。
有給取得の伝え方
最初に直属の上司の承認を得てから、必要であれば社内のルールに従って申請します。
シフトを組む前に打診することが大切で、一度シフトを組んだ後に有給で調整するのは難しくなります。
申請理由は「私用」で問題ありません。
よくあるトラブルと対処法
トラブルが起きたときに備えて、有給を申請した書類をコピーしたり、有給申請メールを保存したり、有給を申請した事実を証明できるものは残しておきましょう。
有給を使いにくい場合は、周りとの人間関係で取得しにくいこともあるため、希望した日がNGだと言われた場合は、いつなら取れるのかを確認しましょう。
有給休暇の取得を拒否された場合は、有給は法律上に定義のある権利なので、直属の上司に再度取得を申請してみましょう。
そして、常に人手不足だったり、シフト調整が上手くできていなかったりする場合は、企業側に時季変更権は認められませんが、忙しい時期には申請日の変更について「相談」される可能性があります。
違法とされる行為が日常的に行われている場合は、会社独自のやり方を通しているため、どのような方法をとっても、有給休暇の取得が認められない可能性が高いといえます。
「有給休暇はない」と言われた場合は、アルバイト先が正しく理解していなかったり、また従業員側も「有給休暇は社員だけ取得できるもの」と誤解していたりして、申請自体が行われていないケースが多くあります。
直属の上司が有給休暇について正しく把握していない可能性も考えられるため、こちらのケースでは、勤務先の本部などに問い合わせをしてみることをおすすめします。
それでも解決しないときは、労働基準監督署などの外部の機関に相談する選択肢も考慮すると良いでしょう。
有給休暇の日数自体は、労働者自身でも、前述の方法で計算することが可能です。
しかし、問い合わせても日数を教えてくれない勤務先の場合には、そもそも有給休暇に対する考え方自体がルーズな可能性も考えられます。
まずは本部などに有給を取得したい旨を伝えたうえで、進展がない場合には労働基準監督署などの外部機関に相談するのも一つの方法です。
そもそも有給とは
基礎知識
有給とは、「年次有給休暇(ねんじゆうきゅうきゅうか)」の略称で、普段のお休みとは異なり、労働者に与えられるボーナスのような休暇です。
労働基準法によって労働者に与えられる権利で、雇用形態に関係なく全労働者に適用されます。
有給休暇は、取得時季や理由の説明は必要ありませんが、会社が希望日を拒否することは違法です。
付与される条件
有給休暇は、入社日から半年経過した日に初めて付与されます。
また、既定の出勤日数の8割以上出勤していることが、有給が付与される条件となります。
遅刻や早退、産休・育休で出勤しなかった期間も出勤日にカウントされます。
したがって、まともに出勤している場合、半年後には必ず有給が付与されます。
付与される日数
有給休暇の付与日数は、雇用期間と既定の出勤日数によって決まります。
週5日勤務の場合、初年度は半年後に10日もらえ、6年6ヶ月以上勤務すると20日となります。
週1日でもコンスタントに働いていれば、パートタイム労働者でも有給を取得できます。
就業規則で定めた日数は、労働基準法を下回ることはできません。
使用方法
有給は、原則として希望する時季に取得できます。
会社は労働者の希望に添って有給を与えなければなりません。
ただし、会社によっては申請時期や使用条件に制約があることがあります。
最初は同僚や上司に相談しながら使うのが良いでしょう。
一般的な使い方には、連休の取得、病気の休養、退職時の有給消化などがあります。
退職時に残っている有給は、会社とのスケジュールを調整して使うことが一般的です。
ルール
有給休暇にはいくつかのルールがあります。最低限知っておくべきルールは以下の3つです。
取得義務化
2019年から、年間10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して、最低でも5日以上の取得が義務づけられました。
これは、労働者が自発的に有給を申請しない場合でも、会社側から指定して休ませなければならないという法律です。
この規定は、有給休暇を制度として強化し、労働者に休息の機会を提供することを意図しています。
会社がこの義務を怠ると、労働者1人あたりについて30万円以下の罰金が課せられる可能性があります。
使用期限
有給休暇は付与日から2年間が有効期限です。
したがって、2年を超えて未使用の有給は失効します。
ただし、繰り越し制度が適用され、最大で40日まで有給を繰り越すことができます。
一部の会社では、就業規則で繰り越し期間を長く設定していることもあります。
このルールは、労働者が有給を定期的に利用するよう奨励するために存在しています。
時季変更権
労働者が有給の取得日を申請した場合、会社はその日程を変更する権利を持っています。
ただし、時季変更は「取得タイミングの変更」に過ぎず、有給休暇そのものを拒否することはできません。
これは、店舗や事業所の繁忙期などに複数の従業員が同じ日に有給を申請した場合、会社が効率的にスケジュールを調整するための仕組みです。
ただし、時季変更を要求するには、客観的な理由が必要で、例えば「その日はセール初日で非常に忙しいから」といった理由がある場合に使えます。
時季変更権は、退職前の有給消化には適用されません。
有給の買い取り
通常、有給休暇は買い取ることは許可されていません。
有給休暇の制度の主な目的は、労働者に休息を提供することであり、買い取りを許可するとその目的が崩れてしまうためです。
ただし、一部の場合においては買い取りが許可されています。
これには、法定の日数に上乗せして付与された年次有給休暇や、時効消滅する年次有給休暇、退職で消滅する年次有給休暇が含まれます。
しかし、会社は買い取る義務はなく、労働者が希望する場合でも拒否することができます。
有給1日あたりの金額
月給で働いている人の場合、休んだ日も出勤扱いとされ、通常の月給が支給されます。
具体的な計算は、「平均賃金若しくは所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金又はこれらの額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した額の賃金を支払わなければならない」という労働基準法に基づいて行われます。
一方、毎日の給与が違う雇用形態の場合は、直近3か月間の1日平均の賃金が支給されるのが一般的です。
これは、給与が日給や時給制の従業員に公平な支給を保障するための措置です。
これらのルールを理解しておくことで、有給休暇を適切に活用できます。
ネットの質問箱などの回答事例
事例①
質問者は、自身が所属する会社が人材不足である一方、有給休暇を取得することについての通知を受けない状況に不満を抱いています。
一部の回答者は、有給休暇は労働者の法的権利であり、通知があるかどうかは違反の判断基準ではないと指摘しています。
ただし、会社側は有給取得日の変更権を持つため、希望通りに有給を取得できない場合もあることに留意すべきです。
事例②
有給休暇を取得できない状況に関する相談が寄せられています。
一般的にアルバイトの場合、有給休暇の権利が制限されることがあり、正社員とは異なる取り決めがあるかもしれません。
質問者に対して、労働基準監督署へ相談することや、正社員に転身することが提案されています。
ただし、法律や労働条件は国や地域によって異なるため、具体的なケースに合わせて適切な対応が求められます。
事例③
パート社員が有給休暇の残日数を確認しようとした際、担当者から「教えられません。自分で計算してください。」との回答されたことが相談されています。
このような場合、従業員は自身で有給休暇の管理を行う工夫が必要です。
年間のスケジュールを確認し、有給休暇の利用計画を立てることが提案されています。
また、情報を確実に収集し、証拠を残すことが、権利の行使に役立つとされています。
アルバイトだから?会社が有給日数を教えてくれないのは違法? まとめ
会社が有給の日数を答えないことは必ずしも違法ではありません。
有給日数が知りたいなら「給与明細を見る」「総務部や人事部などに確認する」といった方法が確実です。
小さい会社の場合、自分で調べないと有給日数が分からないこともあるので気を付けてください。
有給休暇に関する権利と会社側の権利、労働条件は複雑であり、具体的な状況に応じて適切な対応が求められます。
従業員は、労働法や就業規則を確認し、自身の権利と責任を理解することが重要です。
また、適切なコミュニケーションと証拠の保持が、トラブルの予防に役立つこともあるでしょう。